2013-07-20

レイモンド・ローウィー その1


切手自体の話は一旦おわりにし、
また僕のコレクション紹介を再開。
今回は切手のグラフィックデザインに着目してみます。

題して「あの巨匠のデザイン切手」。
第一回目としてアメリカの超巨人デザイナー、
レイモンド・ローウィー(1893~1986)の切手をご紹介します。

僕がもっているローウィーデザインの切手は、ケネディ大統領のこの1枚。


J.F.ケネディ47回目の誕生日を記念し、1964年5月29日に発行されたものです。
……ということは、彼が暗殺された1963年11月22日から
1年もしないうちに発行されたということで、
当時としてはかなりタイトなスケジュール。
ケネディがいかに大きな影響力のある大統領だったかが、
こんなところからも見えてきますね。

さて、この切手。消印でちょっと見づらくて恐縮ですが、
ポートレートの左には炎がデザインされています。
これは、「エターナルフレーム」と呼ばれ、
バージニア州にあるアーリントン国立墓地内の彼の墓で、
今も燃え続ける“消えない炎”。
この炎を灯したのは、未亡人となったジャクリーン・ケネディなんだとか。

ところで、フリーライターでデザインも教えている
ポール・ジョダードという人の著書
『レイモンド・ローウィー』(日本では鹿島出版が1994年に発行)に、
ジャッキーは「夫が暗殺されたのち、
彼にケネディ記念切手のデザインを依頼している。
発行当時のアメリカ郵政長官によると、
それは“郵政史上最も周到に計画された切手”だった」。
という一文があるのですが、その前後を読んでも、
この文の意図がよくわからない……。
誰がどう何を周到に計画したのかなあ。

ご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えてください。

さてさて、話を切手デザインに戻しましょう。

この切手をよく見ると、縁をぐるりと言葉が取り巻いています。
そこには“And the glow from that fire can truly light the world”
と書かれているのですが、
これはケネディの大統領就任演説から抜粋された一文。

以上がこの切手のデザイン要素でした。
次回は続いてデザインエピソードをご紹介します。

2013-07-04

日本初の切手のおはなし


前回が世界初の切手の話だったので、
今回は日本の話。

日本で切手が初めて発売されたのは、
郵便制度が始まった1871(明治4)年。
イギリスから遅れること30年ほどとなりました。

手彫り(エッチング)でつくられた版を用いた
「竜文切手」がそれです。

ところで、なぜ切手は切手という名前なのでしょう? 

その語源は、室町以前から使われていた
「切符手形(きりふてがた)」だそう。
これは料金が前払されたと証明する紙片で、
略して“切手”と呼ばれていたんですね。

日本の近代郵便制度の創始者である前島密(まえじまひそか)が、
そのことを踏まえ postage stamp の訳語にあてました。
こうして単に「切手」という場合も、
「郵便切手」のことを指す言葉となったのです。

前島さんって、1円切手でおなじみのこの人ね。


ちなみに「郵便」という言葉も前島さんが採用しました。

あ、もちろん僕は「竜文切手」もまた、一枚ももっていません。
あしからず。

参考資料:『切手の歴史』岡田芳朗 著