2015-12-01

大阪万博切手 その6

これまで5回にわたり大阪万博切手をいろいろ紹介してきましたが、今日は総まとめというか、最後の花火というか、とにかくいろいろお見せして、このたびの「大阪万博シリーズ」を締めたいと思います。


ポルトガル切手。
この印象的なデザインは、上から時計回りに「羅針盤」「日本へのキリスト教の紹介」「キリスト教のポルトガルと仏教の日本を示す頭文字」「象徴図と万国博マーク」ということで、何だか奥深い。
きっと、ポルトガル館で展示されていた、伝道者フランシスコ・ザビエルの業績やポルトガルが日本の近代化のために果たした役割の紹介なんかとリンクしたデザインなんだと思います。


こちらはチェコスロバキアの組切手のなかから3枚分。
この他に一回り以上大きな切手が3枚あり、計6枚の組切手となっております。


ニュージーランド切手。色合いがとってもおしゃれで気に入ってます。
ピンクのものは万博のニュージーランド館がモチーフ。紫のものはNZ館内にできたガイザー・ルーム・レストランで、オーストラリア生まれの建築家ロバート・ウッドワードの作品。これが、ガイザー(間欠泉)という名の通り、天井からバックライトに照された仕掛けの中を水が放射状に落ちる印象的かつ斬新な内装。その落水の様子が切手のモチーフになっているんですね。ちなみにウッドワード氏は噴水デザインでも有名な方なんですよ。
ちなみに緑色の切手はNZ館の展示内で展開されていた「森の径」をイメージしたデザイン切手です。


右はオーストラリア、左はインドネシアの切手。


さて、これがどこの国だかお分かりになる方はいらっしゃいますか?
……答えは、ブルガリアでした。モチーフも万博のブルガリア館です。


そしてマルタ島の切手。
こちらもグラフィカルでかっこいいですよね。富士山がモチーフになっています。


そして最後にダオメ(ダホメとも言います)王国。アフリカの国のひとつでしたが、現在はペナン共和国という名前になっています。
黄色のものは日立グループ館がモチーフ。実はダホメ切手は3枚組で、このほかに、富士山とお城と鳥居のモチーフが描かれたもう1枚があるのですが、残念ながらボクはまだもっていません。

このほかにもボクはいろいろな大阪万博切手をもっていますが、とりあえず今回はここまでの紹介で終わりたいと思います。
いろいろ見てきましたが、(今も多少はそうですが)万博は本当に大きな世界的お祭りだったということが、数々の切手からもよ〜くわかりますね。
切手は国と時代を色濃く反映する小さなメディアなのだなあと、つくづく思います。

2015-11-20

大阪万博切手 その5

大阪万博の記念切手でデザイン的に外せないのが、今日ご紹介するオランダの切手。
デザインは、戦後のオランダ……いや全ヨーロッパを代表するグラフィックデザイナーのウィム・クロウェルです。

彼の偉業としては実験書体「ニューアルファベット」が有名ですが、切手の現場でもなかなか面白い仕事を残しています。この、地味ながら高いデザイン性を感じさせる記念切手もそのひとつ。


クロウェルは、この切手のモチーフになっている大阪万博のオランダ館そのもののグラフィックデザインにも携わっています。このかわいい「オランダ」の文字ももちろんそう。


さかのぼれば、ボクふうじんが切手集めを始めたきっかけがまさに、クロウェル切手でした。
10年も前のことですが、オランダを旅していてたまたま出会った切手市でクロウェルの切手を発見し、嬉々として買い集めたことを昨日のように思いだします。
これ以後10年も切手を集め続けているんですね~、ボクってば。

また機会を改めてクロウェル切手のことも書きたいと思います。

2015-09-14

大阪万博切手 その4

どんどん行きます、ふうじんコレクション。

こちらはアフリカ中央部に位置するチャド共和国の記念切手。


太陽の塔と歌舞伎役者、というオーソドックスな(?)組み合わせです。
余談ですが切手……といえばチャドは最近、尖閣諸島関連の記念切手を発行して一部で話題沸騰になっていました。気になる方はググってみてください。

こちらは同じくアフリカで、西側に位置するリベリア共和国の切手。


リコーのパビリオンをモチーフにしています。リコーだけにテーマは「理光」。

万博切手のなかでも人気の高い、シエラレオネの変形切手。


同国は変形切手が大好きらしく、いろいろなカタチのものを過去に出しています。しかも糊をつけずにそのまま貼れるセルフ糊タイプ。シエラレオネは世界で初めてこのセルフ糊タイプの切手を出したことでも有名です(1964年)。

余談ですが、ふうじんがもっているシエラレオネの変形切手にはこんなものも。


見事シエラレオネのカタチ。かわい~。

2015-09-06

大阪万博切手 その3

大阪万博切手についていろいろ書いてみましたが、
その3からはふうじんが集めた切手をお見せしましょう。

まずはアラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつであり、ドバイ、アブダビに続く第三の存在であるシャールジャ首長国のもの。
太陽の塔がドーンと象徴的に聳えるデザインですが、その足下にある建物はサウジアラビア館です。実際の位置関係はもちろんこんな感じではなかったわけですが、なかなかしっくりきています。


こちらも同じくアラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつ、ラサールカイマの記念切手。
モチーフとなっているパビリオンは日本館でございます。アフリカのドラムセットにも見えるこの建物群ですが、実は真上から見ると万博のシンボルマークのように建物が配置されているのでした。


上記の2国は現在は独自で切手を発行していませんが、1960~70年代初頭にやたら記念切手を乱発。大阪万博切手もこれらにとどまらずたくさん発行されています。

かわってはカリブ海にあるイギリス連邦加盟国のグレナダ。余談ですが、スペインのグラナダに行こうとして間違えてグレナダに行った、というギャグのようなホントの話を聞いたことがあります……。
で、この記念切手のモチーフは東芝IHI館。


この国もいろいろな記念切手を出していて、過去に南野陽子の記念切手まで発行されているんですねえ……でもなぜにナンノ???

2015-08-31

大阪万博切手 その2

前回の「その1」からだいぶ時が経ってしまいましたが、大阪万博の切手について。

同万博を記念した記念切手は、日本だけでなく世界各国で発行されています。


こちらの切手はルーマニアが発行したもの。東大寺七重塔を再現した古河グループのパヴィリオンがモチーフになっています。近未来的建築ばかりの会場でこの外観は目を引いたでしょうね。

高さも相当なもので、金色の相輪部分も入れると約85m。ほんまもんの東大寺の七重塔は西・東の2箇所があり、ともに高さ70mとも100mとも言われていますが、室町時代に雷と兵火が原因で焼失。そこで「古代の夢と現代の夢」という万博テーマに沿って、古河グループが万博の場で再現したんだそうです。

このパヴィリオンは万博の閉幕とともに壊されましたが、東大寺は現在、復元を模索しているそうなので、将来的に見られる可能性も。

ちなみにこの大型シート切手については郵便学者である内藤陽介さんのブログにも詳しいことが書かれているので、ご興味のある方はのぞいて見てください。

ルーマニア人はよっぽどこの塔が気に入ったらしく、別バージョンの切手も。
ほかにも多彩なトラディショナルジャパニーズデザイン切手を発行しています。


2015-04-20

大阪万博切手 その1

先日、楽しみにしていた展覧会をようやく見てきました。
これです、これこれ。


片岡球子展の方が目立ってますが、その下。
「大阪万博1970 デザインプロジェクト」でございます。

展覧会についての詳細はググっていただくとして、
大阪万博のさまざまなデザイン案件のひとつに、切手があります。これぞボクのお目当て。

ボクのもっているこの切手の版下が展示されていて感激しました。


デザイナーの日置勝駿さん(*リンク)が手がけたこの切手は、数ある万博記念切手のなかでも一番のお気に入り。
日置さんはこのほかにもいろいろな切手を手がけてきた人ですが、手の痕跡が明らかな、素朴かつ情緒的デザインに長けた人だなあと思います。

同展カタログにも書かれていますが、こういう記念切手類を販売することで寄付金を集め、万博運営資金の一助にしていたわけですね。


これからしばらくこの大阪万博切手について、あれこれとお伝えしていこうと思います。

2015-02-26

ハーブ・ルバリンその2

前回に続き、アメリカの伝説的デザイナー、ルバリンの話を。

彼の全仕事の中で特に有名なのは、
編集者ラルフ・ギンズバーグとタッグを組んで世に問うた雑誌
『エロス』『ファクト』『アヴァンギャルド』の3つでしょうね
(……あをぐみÄイチオシの『MOTHER&CHILD』誌もそこに加えたいところですが、
この雑誌、残念ながら出版されずじまいに終わっているのです)。

これらの3雑誌は現在、ネット上や古本屋さんで高値取引されている人気の品。
何をかくそう弊社あをぐみにも数冊あるのだ、エヘン(ただしÄの私物)!
気になる方は我々のショールーム【place by awo】でスタッフに声をかけてみてください。

さてさて、そんなわけで切手にとどまらず(というより切手は彼の仕事のほんのごく一部)
文字とタイポグラフィの世界に多大なる貢献をしたルバリン。
前回紹介のシリーズ切手は、
彼のほかにジョン・ピスティリ、J.ロンバルデーロがデザインに携わり、
1959から62年にかけてデザインされています。
ちなみにピスティリは、それ以前にもルバリンと組んで
「ピスティリ・ローマン」という書体をつくったりもしている書体デザイナーです。

と、ここまででルバリンの回は一旦終了にします。
次はまた別のデザイナーの別の作品をご紹介しましょう。

ごきげんよう!

2015-02-23

ハーブ・ルバリンその1

やっと春の気配が感じられるようになりましたね。
ご無沙汰しておりましたが切手ネコのふうじんです。

さて、ここしばらくゆるい話題が続いてたので原点に戻るべく、
デザイナーズ切手の話……
特に『あの巨匠のデザイン切手』シリーズを再開したいと思います。

以前紹介したレイモンド・ローウィー切手に続く話題として、
ローウィーとほぼ同時代(ちょっと遅れ)に同じくアメリカで活躍したデザイナー、
ハーブ・ルバリン(1918~1981年)の切手をご披露しましょう。


これらは1960年にアメリカで発行されたエアメール用切手で、
左上からペンシルベニア州フィラデルフィアにある「自由の鐘(10C、13C)」、
かの有名な「自由の女神像(15C)」、
そしていわずと知れた「第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーン(25C)」の3種類です。

ところでハーブ・ルバリンとはどんな人なのでしょうか? 
試しに、隣に座っているあをぐみデザイナーÄに「ルバリンを語る上ではずせない仕事は?」と聞いたら、
0.5秒もたたないうちに「マザー&チャイルドのロゴ」と即答が。
書体デザイナーのトム・カルナスと組んでつくったこれですね。

そう彼のデザインはこうした、文字中心のものがとっても多いです。
それもそのはず彼は1950年代半ば~60年代後半に、
アメリカ東海岸を中心に花開いた文字中心のグラフィックデザイン、
いわゆる「アメリカン・タイポグラフィ」を代表するデザイナーなんですから。

長くなりそうなので今日はここまでにしますが、
次回もルバリンのデザインと切手について語らせてくださいね。

2015-01-22

ニルス切手もあるよ!

こんにちは。
松本は結構雪が降りましたがみなさま、お元気ですか?
切手ネコふうじんでございます。

昨日、あをぐみÖがニルスの話をしていましたが
ニルスといえばこんな切手もあります。


日本のニルスは少年という感じだけど、
ドイツのニルスは何だか妖精っぽい感じ。

こちらはスウェーデンの切手。
写実的なモルテンが素敵。


僕のコレクションは建築とデザインが中心なので
こういう切手はイレギュラー。
でもかわいいからついつい買ってしまうのです。