2013-06-15

世界初の切手のおはなし

「切手」よりも「建築」寄りの話題が続いたので、
切手自体の豆知識をちょっとばかりご披露。

とはいえ、僕は“切手好き”というより“建築&デザイン好き”なので、
ウィキペディアで調べられるような話に
ちょっとデザインエッセンスを注入する、
ということくらいしかできないのですが……。

世界で最初の切手が発行されたのはイギリス・ロンドンで、
1840年5月1日のこと。
そのきっかけとなった人物が、
税制の研究をしていたローランド・ヒルという人でした。

彼は、アホなくらい高いうえ、
かなり不便だった郵便事情を世間に知らしめてやろうと
1837年に「郵便制度の改革」という冊子を出版。
これがその後の切手発行につながる改革となったそうです。

世界初となる切手のデザインは、最初、広く公募されました。
ところが、前述のヒルさんはその結果を待たずに
自ら図案を検討しはじめ、
ビクトリア女王をモチーフに定めたんだそう。
いろいろデザインを考えて応募した人は
さぞかしムカついたでしょうねえ(苦笑)。

こうして世界初の切手には女王の横顔の肖像が採用され、
黒い1ペニー切手と、青い2ペンス切手の2種が発行されています。

黒い方は「ペニー・ブラック」と呼ばれ、
5月1日当日に発売された数十万枚は特に、
今でも切手狂の間では高値取引の対象。
切手に興味がなくても、ペニー・ブラックは聞いたことある、
という人も多いのではないでしょうか。

でも青い方、通称「ペンス・ブルー」はなぜかさほど有名になってませんね。
それは、ペンス・ブルーが補助的な存在で、
発行枚数もはるかに少なかったからだと言われています。

そうそう、デザイン的におもしろいはなしをもうひとつ。

ペニー・ブラックの下2辺には、
AAからTLまで240通りのアルファベットが組み合わされて入っています。
(ウィキペディアに画像があるので参考までに)。

それはいわゆる“偽物防止”のためのチェックレター。
まあ切手は何と言っても有価証券ですからね。
チェックレターという方式は以後40年以上にわたり、
イギリス発行の切手に採用され続けました。
マニアの中にはこの文字の組み合わせに熱狂する人もいるみたいですね。

ペニー・ブラック? もちろん僕はもってませんとも(えへん)。
そこが“切手好き”と“建築デザイン切手好き”の違いです(?)。

参考資料:『切手の歴史』岡田芳朗 著